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2020年10月15日【注文住宅】タタミ考

杉本 立

子供のころ住んでいた家には仏間が有りました。
数十年前の曖昧になった記憶をたどるとおそらく10帖くらいだったと思います。

その和室は居間と祖母の部屋に挟まれており、正月やお盆には障子を取って、間繋ぎの大きな部屋にして大勢の親戚や近所の人たちと食事をする宴会場のような場所になりました。

子供の時の日課は和室の仏壇にお供えをあげる事でした。
陽があたらず昼間でも薄暗く5,6歳の子供には仏壇や先祖の遺影は不気味で怪しく、何か用事がなければ自分から近づくことは有りませんでした。

仏間として、客間として昔の家には和室をつくる事が当たり前でした。
祖母が生きていたころ私の家には色んな人が訪ねてきました。
月命日にお経をあげに来るお坊さんや近所の人たちも良く遊びに来ていたし、遠くに住む親戚の家族も正月や夏休みに泊まりに来ていました。
そんな時には普段、近づかないような和室も、親戚の子と夜遅くまで話し合う楽しい場所になりました。

お客様からタタミの部屋をつくりたいというご要望も多く伺います。
ただ、私が昔住んでいたような家に有った和室ではなく、リビングに隣接していてソファとは別にくつろいだり出来る余剰空間として欲しいというお客様がほとんどです。

これは数十年の間に親と同居する世帯の減少、出生率の低下などで客間や仏間としての和室よりも家族使いの気軽なスペースとしてタタミが求められているのかな、と思っています。

いま戸建て住宅の合理化は進み、延床を抑えた間取りのコンパクトハウスが多くなっています。
合理化された間取りで、リビングとは別にタタミを敷きたい、と思うのはどこか和のやすらぎをもとめているからでしょうか?

現代で和を感じられる場面は少なく、着物や浴衣、お参り、花火、お祭り、花見、月見…等特別なものになっています。
タタミに腰をおろして落ち着くことで、侘び寂び、禅といった和の精神を無意識に感じているのかもしれません。
現代人にとってのタタミとは、和を日常的に感じられ、日本人のルーツを意識できる数少ないアイテムなのかもしれません。